頻発ひんぱつ)” の例文
ところへ、讒者ざんしゃの画策も手伝うように、両者のあいだには種々いろいろな事件が頻発ひんぱつした。宿命といおうか不測に起ってくる。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一家のうちでも、どうかすると、直接の因果関係の考えられないようないろいろな不幸が頻発ひんぱつすることがある。
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この騒動中の騒動に頓着なく、犯行はその後も依然として間歇かんけつ的に頻発ひんぱつしたが、犯人そのものの影は、その時消え去って以来、いまだに消えたまんまなのだ。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
諸国に頻発ひんぱつする暴動ざたが幕府を驚かしてか、宿村の取り締まりも実に厳重をきわめるようになった。半蔵が国を出るころは、街道に怪しいものは見つけ次第注進せよと言われていた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それはくまい、三百年来の徳川政権を無条件で奉還する、いくら内憂外患頻発ひんぱつの世の中とはいえ、一戦も交えずして政権を奉還する、そんなことは将軍職としてやれまい、将軍職としてはやれても
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜は怪し火の頻発ひんぱつに悩まされ、昼は防備につかれ、そして、喰う物は尽きるし、防寒の用意もない。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
モスコーにこれと同じ事件が頻発ひんぱつして、やはり売春婦のみが排他的に殺され、切開手術のような暴虐が各体に追加してあったが、この犯人は捕縛ほばくされて、精神病者と判明し
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)