頭椎かぶつち)” の例文
彼は眼前に犬とたわむれている、十六人の女たちを見るが早いか、頭椎かぶつちの太刀を引き抜きながら、この女たちのむらがった中へ、我を忘れて突進した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
若者は立停ると、生薑を投げ捨てた手でつるぎ頭椎かぶつちを握って黙っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
大気都姫おおけつひめはどこへ行ったか、全く姿を見せなかった。彼は手早くくつ穿いて、頭椎かぶつちの太刀を腰に帯びると、老婆の挨拶には頓着なく、大股に洞外へ歩を運んだ。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は身仕度をすませると、壁の上の武器の中から、頭椎かぶつちつるぎ一振ひとふりとって、左の腰に結び下げた。それからまた炉の火の前へ行って、さっきのようにあぐらをいた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)