頭振かぶ)” の例文
婆さんは一人で、きかぬ気らしく頭振かぶりを振りながら言い続けるのである。私は、揉手もみでをせんばかりに、はいはいして
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
小平太は苦しそうに、ただ「いいや」とばかり頭振かぶりをってみせた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ト云うはたしかに昇の声。お勢はだらしもなく頭振かぶりを振りながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「いいや、こんなことに年寄りの出るところやおへん」と一克いっこくそうに、わざと仰山ぎょうさん頭振かぶりをふったかと思うと
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
頭振かぶりを振る娘の顔を視て、母親は
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「わたし聞きまへん。この年になるけど初めてや」と、強く頭振かぶりをふって呆れている。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「もう、あれからしばらく経ったから、病気も大分良くなったでしょう。私自分で一遍往って様子を見て来たいと思うんですが」というと、小村は口をきくよりも先きに頭振かぶりをふって
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「うう」と、女は頭振かぶりをふって、「ほんまどす」という。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「いいえ。そんな人知らない」頭振かぶりをふった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)