頑童がんどう)” の例文
富家ふかにありてはただ無知盲昧もうまい婢僕ひぼくに接し、驕奢きょうしゃ傲慢ごうまんふうならい、貧家にありては頑童がんどう黠児かつじに交り、拙劣せつれつ汚行おこうを学び、終日なすところ、ことごとく有害無益のことのみ。
教育談 (新字新仮名) / 箕作秋坪(著)
頑童がんどうはしばし黙然としていたが、突如、持ち来った棒をふるって、喜兵衛に襲いかかったのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、この一席の紳士も淑女も、秀才も頑童がんどうも、そんなことを少しも気にかけてはいない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時突然恐ろしい考が彼れの吐胸とむねを突いて浮んだ。彼れはその考に自分ながら驚いたようにあきれて眼を見張っていたが、やがて大声を立てて頑童がんどうごとく泣きおめき始めた。その声は醜く物凄ものすごかった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)