頂戴いただ)” の例文
冬の頃から頂戴いただいていたものを、花見の客が無闇に立て込む今日此頃では忘れたかのようにお寿賀さんは夫れをれようともしない。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「はいはい申兼もうしかねましたことなれど、この洗濯賃をあてにして、今日はまだ御膳ごぜん頂戴いただきましねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のっそりもまた一気性、ひと巾着きんちゃくでわが口らすようなことは好まず、親方まことにありがとうはござりまするが、御親切は頂戴いただいたも同然、これはそちらにお納めを
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今にキット良い処へ嫁付かたづけて遣るって仰言って、着物なんか幾つも頂戴いただいて参りましたの。今、平常ふだんに着ておりますのも奥さんのお若い時のを、派手になったからって下すったのですわ
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これあたし頂戴いただいて行きますわ。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
『ヘイ。それなら私も頂戴いただきまっしょう』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)