面映おもはゆ)” の例文
何となく本能をさらけ出すようで面映おもはゆくもあるし、そうかと言って、厳粛に事務的であるためにはあまりに雑沓している。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
差しつくる蝋燭ろうそくの火のふき込められしが、取り直して今度は戸口に立てる乙女のかたにまたたく。乙女の顔はかざせる赤き袖の影に隠れている。面映おもはゆきは灯火ともしびのみならず。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は面映おもはゆくは感じながらも内心大いに得意だったが、なんという浅間しいことだろう。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
隅の床几しょうぎの上に寝ていた本人は、まだその話のたけなわな頃には、深くねむっていたので倖せだった。もし眼がさめていたら、噴飯に堪えないどころか、面映おもはゆくてそこにいられなかったかも知れない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
志賀健吉は、熱心にほめる大村たちの顔を面映おもはゆそうに見守っていた。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
みぐしのひまのこゝかしこ、面映おもはゆげにものぞくらむ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ややあって姫は面映おもはゆそうに
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
みぐしのひまのこゝかしこ、面映おもはゆげにものぞくらむ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)