青瓢箪あをべうたん)” の例文
腕組みして仔細らしく考へ込んでゐるしぼんだ青瓢箪あをべうたんのやうな小僧や、さうした人達の中に加つて彼は控所のベンチに身をやすませた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
まげは短くめてつてゐる。月題さかやきは薄い。一度喀血かくけつしたことがあつて、口の悪い男には青瓢箪あをべうたんと云はれたと云ふが、にもとうなづかれる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
十九の青瓢箪あをべうたんが、穩當な惚れやうばかりはしてゐませんよ。それに、彦太郎は市十郎の本當の子ではなく、實はをひも甥、義理ある遠い甥なんださうで。
「あの女は、やたらにピンシヤンするからですよ。青瓢箪あをべうたんの役者野郎に夢中になつて、働き者の旦那の阿波屋を大事にしないから、あんなことになるんで」
「三十がらみの青瓢箪あをべうたん野郎で、大きな聲で物も言へない、物の汚點しみか、影のやうな野郎ですよ、——その和助が言ふんだ、お舟さんは昨夜一と足も外へ出ねえ——と」
「眉毛が薄くて、有るか無きかのお團子つ鼻で、二十歳はたちの白雲頭で、青瓢箪あをべうたんで、赤眼で」
四十前後の平凡そのものと言つた男、少し青瓢箪あをべうたんで、口が重くて、一向に話のらちはあきませんが、さすがに大家を支配してゐるだけに、何處かに確りしたところはありさうです。
「親分が、あの伜と掛け合つてゐるうち、あつしは二、三人達者な奴と逢つて來ましたよ。何しろあの青瓢箪あをべうたん野郎と來た日にや、煮え切らなくて、欝陶うつたうしくて、話をしてゐると、しびれがきれるでせう」
少し青瓢箪あをべうたんですが、おたな者風の良い男で、精々二十歳はたち前後でせう。
「すると、あの青瓢箪あをべうたん野郎が兄嫁を——」