雨催あまもよい)” の例文
雨催あまもよいの空濁江に映りて、堤下の杭に漣漪れんい寄するも、蘆荻ろてきの声静かなりし昔の様尋ぬるに由なく、渡番小屋わたしばんごやにペンキ塗の広告看板かゝりてはみの打ち払う風流も似合うべくもあらず。
半日ある記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
白昼ひるまを欺くばかりなりし公園内の万燈まんどうは全く消えて、雨催あまもよいそらに月はあれども、四面滃※おうぼつとしてけぶりくがごとく、淡墨うすずみを流せる森のかなたに、たちまち跫音あしおとの響きて、がやがやとののしる声せるは
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)