隻語せきご)” の例文
法、隻語せきごを交ゆることを得ず、翁独語するものの如くして曰く、「むしろ玉と為りて砕くるとも、瓦と為りて全うするなかれ」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
此の疑獄に向て余は隻語せきごだに容喙ようかいすべき権利なし、然かのみならず、余は此際特に謹慎を加へて、彼等人民が今回の動静に就ては務めて沈黙を守らんと欲す。
鉱毒飛沫 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
久しき後馬よりおろして、我を推して進ましむ。かれこれ復た隻語せきごを交へず。狹き門を過ぎてはしごを降りぬ。
オリヴィエはもう彼からわずかな片言隻語せきごをしか引き出すことができなかった。オリヴィエから尋ねられると彼は馬鹿げた答えばかりした。オリヴィエはがっかりした。
それどころかほんの一寸した片言隻語せきご、たとえば「平次は猶もあら縄たくり」と言う一句から、荒々しいものへの嫌忌の心を植えつけられ、「と言うもほとけ気徳右衛門」という一句からやさしい
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)