随身ずいじん)” の例文
旧字:隨身
随身ずいじんの一名が、軍奉行から簿を取って、列将の姓氏をふたたび点呼してゆくと、簿名ぼめいにはありながら、ここには見えない一将があった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御所から中宮のお言葉を受けて宰相の兄の衛門督えもんのかみがはなばなしく随身ずいじんを引き連れ、正装姿でお使いにまいった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
アウグスツスのひろこうぢに余りて列をなしたる馬車の間をくぐり、いま玄関に横づけにせし一輛いちりょうより出でたる貴婦人、毛革の肩掛を随身ずいじんにわたして車箱のうちへかくさせ
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ひろはゞ消えなむとにや、これもけしかるわざかな」と随身ずいじんの男に祝儀しゅうぎをおつかわしになったりした院の御様子はどこか江戸の通人つうじんに似たようなふしもあるではないか。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
随身ずいじんたちががやがやというのをかおるは制して、だれかとあとから来る一行を尋ねさせてみると、妙ななまり声で
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
毛革の肩かけを随身ずいじんにわたして車箱しゃそうのうちへかくさせ、美しくゆい上げたるこがね色の髪と、まばゆきまで白きえりとをあらわして、車のとびら開きし剣おびたる殿守とのもりをかえりみもせで入りしあとにて
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「窮屈な随身ずいじんはいやですよ」
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)