ひか)” の例文
午迄には未だ余程の間がある真夏のきらびやかな朝のひかりのうちだつた。白い雲の峰が水平線の上に一塊りになつてぽつかりと浮んでゐた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
その水煙りに似たひかりを蹴散らして魚のやうに飛び回つてゐるので、何れが誰れやら男達の眼には一向区別もつかなかつた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
青草が黄色いひかりを一杯含んでキラキラしてゐるので、花が咲いてるやうだ。さうだ、好く好く見れば、野茨がわかる。
駆ける朝 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
その銀色の翼が斜めのひかりをうけて翻ると、遠い熱帯国の空からでも飛んで来た一群の金翅鳥カルラが美しい東の国の長閑なる風のかほる景色に見惚れて
或るハイカーの記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
これらの幾条かの獅子頭の滝は豊かな水勢に満ちて返つて音もなく、落着き払つて、ひかりに映えながら悠々と、玉座に躍り続けてゐる噴泉を守つてゐた。
山彦の街 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ひかりの円筒が颯つと私の体を覆ふた時、私は
鬼の門 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)