間合まあい)” の例文
助九郎は、待っていたものの、さっ——と一足退いた。はずみ込んでくる武蔵の体と自分の腕の伸びとに間合まあいを測って退いたのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相生町へ店を出し繁昌して忙がしいので間合まあいもなく、それ故お屋敷へも出ませんでしたが、今日は御機嫌伺いながらまいりまして
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宇津木文之丞と机竜之助は左右にわかれて両膝を八文字に、太刀下三尺ずつの間合まあいをとって、木刀を前に、礼を交わして、お互いの眼と眼が合う。
夜半観測の間合まあいなどには暖炉に向いながら、旧里ふるさとあずけ置きたる三歳の小児しょうにが事など始めて想い起せし事もありたり。
礼を交わして間合まあいをひらくと、深喜は切尖さがりの青眼につけた、大石は初め青眼につけて、すぐ八双に構え直した。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
秋川は、ほどのいい間合まあいで、ゆったりとグラスを口にはこんでいる。それを見ていると、急にお腹がすいてきた。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
富「お毒でございますから、お口にはいらん内にと口でおめ申す間合まあいがございませんから、無沙汰にお庭へ棄てました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そこまでは近よれない、間合まあいはほぼ十尺だ、それ以上は近よせもしまいし、しいて近よると怪しまれるぞ」
「撃たせて、たま間合まあいを見、その隙に、飛びこめ」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これはどっちも「間合まあい」をとるためと見られた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)