長髪ちょうはつ)” の例文
旧字:長髮
爺さんは「長髪ちょうはつ」と呼ばれていたが、仕事をしまっての帰りがけには必ず安酒やすざけをあおって来て、ちぐはぐな怪気焔かいきえんをあげていた。
急に悄気しょげてしまったぼくが片隅でひとりダンスを拝見していると、いつの間にかぼくの横に、油もつけていないバサバサの長髪ちょうはつを無造作にきあげた
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
近眼鏡きんがんきょうをかけた三十あまりの人物だった。あおい顔、ヨモギのような長髪ちょうはつがばさばさとゆれている。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
がマイダーノフは、首を横にって、長髪ちょうはつをさっと揺り上げた。わたしは一番あとから手を帽子の中へ入れて、つかんで、さて札をひろげてみたが……ああ! 途端とたんにふらふらっとしてしまった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)