鐘釣かねつり)” の例文
猫又谷を上りて清水しょうず岳に出るもよし、更に上流鐘釣かねつり温泉を経て、祖母谷ばばだに温泉に至り、祖母谷を遡り、支流中ノ谷を上りて清水岳に出るもよい。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
私は耶馬渓を指して天下第一と称した山陽先生を地下に起して、黒部の鐘釣かねつり附近でもよいからこれを見せしめたならば、何と言われるか聞きたいものだと思う。
秩父の渓谷美 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
鐘釣かねつり温泉から黒部川を遡ろうとする人は温泉附近で百貫ひゃっかん山や名剣めいけん山の岩崖をのけ反るようにして眺め、猿飛のあたりでえぐり削られた岩磐に水と岩との凄じい闘争の跡を俯瞰し
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
鐘釣かねつり温泉の岩洞や西山温泉の岩の浴槽はいい、稍やこれに近いものに法師温泉がある。
四十年前の袋田の瀑 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
六、七箇所あっていずれもぬるいが一個所熱いのがある。元より河原を掘って湯を湛え、それに浴するのであるから浴槽などはなく、又同じ自然の儘でも鐘釣かねつりや花敷ほど感じはよくない。
三国山と苗場山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
鐘釣かねつり温泉の湯壺に浸ったことのある人は、温泉の湧き出している洞門の岩壁が更に大きく穹窿状きゅうりゅうじょうに拡がろうとする目の高さの処に、慶応三卯八月 山奉行辻安兵衛山廻伊藤刑部と書いた
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
大塚専一氏は二十二年に針木はりのき峠以北の後立山山脈を、引続いて三回に探査し、針木峠から雪倉岳に至り、一旦大町に帰りて更に黒部峡谷に入り、鐘釣かねつり温泉から三名引さんなびき山を踰えて島尻に出で
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
明日は中村君が此処から鐘釣かねつり温泉へ向う筈である。南日君は南日君で、暢気な男だから長次郎が旨く来ていてれればいいがと、自分の暢気は荷物と一緒に棚に上げて、頻りにそれを心配している。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
鐘釣かねつり温泉附近からは段丘が発達して、道は其上を通じている為に、脚下にそんな断崖があろうとは思われないが、山裾が破れて石の綿をぼろぼろに露出した所や、段丘の発達する余地のない所では
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)