金色きんしよく)” の例文
ほがらかに秋の気澄みて、空の色、雲の布置ただずまひにほはしう、金色きんしよくの日影は豊に快晴を飾れる南受みなみうけの縁障子をすかして、さはやかなる肌寒はださむとこ長高たけたかせたる貫一はよこたはれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
舳に金色きんしよくに光つてゐるうを標識しるしが附いてゐるからの名である。シツペの持舟にこれ程の舟が無いばかりでは無い、テルモンド市のあらゆる舟の中でも、これ程立派で丈夫な舟は無い。
故郷の詩人の賞讚する、晴れた日の快活な光を、クサンチスは体中の腠理きめから吸ひ込んだ。此頃ほど顔色が輝き、髪の毛が金色きんしよくに光り、体の輪廓が純粋になつてゐた事は、これまで無かつたのである。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
金色きんしよくをして、軟く脆い、出来立の菓子が皿に乗る。「先づお父うさんに」と云つて出すと、トビアスが「いや、リイケ食べろ」と云ふ。とう/\リイケが二つに割つて、ドルフと一切づつ食べた。