金壁こんぺき)” の例文
(ああ、ここがお住居すまいか)高綱は、そこはかとなく見まわして、高野の七堂伽藍がらん金壁こんぺきと——ここの粗朴な荒壁だの貧しげなくりやだのを心のうちに対照していた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いぶかりつつ眸をこらして正面の仏龕ぶつがんほのかな辺りを見ると、厨子ずし位牌いはい金壁こんぺき供華くげ拈香ねんこうなどのおごそかなものの影のうちに、さきの誓書一束が供えられてあるのがひとしお目につく。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)