釉薬ゆうやく)” の例文
旧字:釉藥
しかし、これとて、その釉薬ゆうやく築窯ちくよう火法かほう、みな厳秘げんぴらすまじきものとなって、洩らしたものははりつけおきてである。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
表面には、西班牙スペイン風の美麗な釉薬ゆうやくが施されていて、素人の手作りのせいか、どこか形に古拙こせつなところがあった。法水はそれをずらりと卓上に並べて云った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その静かな内に含むかくれた美には、朝鮮の心が今なお伝わっている。私は私の机の上に在る磁器を眺めるごとに、寂しい涙がその静かな釉薬ゆうやくの中に漂っているように想う。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ですから陶器作家は仁清のように純日本的創意のデザインが生まれ、轆轤ろくろも、絵も、書も、釉薬ゆうやくの研究も人一倍優れた素質を持つものでなければ名を成さないということです。
近作鉢の会に一言 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
轆轤ろくろにかかる彼の姿は、鬼のように壁へ映った。そして、夜をつみ、日をついで、釉薬ゆうやく染付そめつけの順に仕事が進んだ。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その静かな内に含むかくれた美には、朝鮮の心が今なお伝わっている。私は私の机の上に在る磁器を眺めるごとに、寂しい涙がその静かな釉薬ゆうやくの中に漂っているように想う。
朝鮮の友に贈る書 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
これというのも白絵と釉薬ゆうやくとに特質があって、その交りから特別柔かい温味のある調子が出てくるのです。この赤絵は、将来壺屋の大きな希望であるといわねばなりません。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)