郁子いくこ)” の例文
郁子いくこは直ぐに疑問を発した。これはお父さんが以前一度話したから知っている筈だのに、僕を困らせようと思って、わざと訊いたのだ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
………郁子いくこヨ、ワガ愛スルイトシノ妻ヨ、僕ハオ前ガ果シテコノ日記ヲ盗ミ読ミシツツアルカドウカヲ知ラナイ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
馬鹿にして居る者もあるが、信ずる者が多い。信ずる者は、吉さんのことばで病気もなおり、なくなったものも見出す。此辺での長尾ながお郁子いくこ御船みふね千鶴子ちづこである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
家付き娘以上の妻の郁子いくことの夫婦感情を、そのまま移したようなものだったが、郁子が同じ病気で死んで行ってから主柱が倒れたように家庭がごたつきはじめた時
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
郁子いくこが笑った。敏子としこが食卓の下から膝を小突いたのである。この二人は長兄の形勢が悪いとしめし合せて嬉しがる。好くない癖だ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
敏子としこが笑ったのは、ついこの間のことのように覚えていたが、僕は今日から冬休みになった。当分くつろげる。郁子いくこも明日きりだ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
宮下君の方から行ったり、郁子いくこさんの方から来たり、新宿で待ち合せて映画館へ入ったりするらしい。遠く郊外へすこともある。それを僕に詳しく報告する。
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
というのは東金君の直ぐ下の妹の郁子いくこさんが成人して、僕の心をきつけていたのである。
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「長倉は五十七八だね。郁子いくこ
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)