邪視じゃし)” の例文
とその歓びにおののき、同時にかりそめにも内蔵助の心を疑ってみたり、この人間の世を邪視じゃししていた自分が、打ちのめされたように恥かしくて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
決して孤独が本然ほんねんなものでない。まして周囲のあらゆる人間たちから邪視じゃしされ、追いまわされ、そして冷たい世間と刃の中に囲まれている者が。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠くは北辺の上杉、伊達だてなどに至るまでが、こぞって、反感か、邪視じゃしか、冷嘲れいちょうか、いずれにしても、好意は示していない。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、市十郎が、そッとその中へ交じっても、誰も、邪視じゃしする者はなく、側の者は、膝をゆずった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、今ふと、秀吉の書面にふれて、彼は、この日までの、秀吉に抱いていた感情を、一瞬、まったくくつがえされた。すべては自分の邪視じゃしと、小心によるものだったと、正直に反省した。そして
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)