逸散いつさん)” の例文
吾等が心情は已に古物こぶつとなつた封建時代の音楽に取りがらうには余りに遠く掛け離れてしまつたし、と云つて逸散いつさんに欧洲の音楽におもむかんとすれば
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
我ものに一義も被引受頼母敷たのもしく共、難有共不申、身にあまり國家の爲悦敷よろこばしき次第に御座候。若哉もしや老公むちを擧て異船へさきがけ御座候はゞ、逸散いつさん駈付かけつけむへ草(埋草)に成共罷成申度心醉仕申候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
歡喜の心、逸散いつさんにわが身をきて
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
犬は逸散いつさん逃去にげさりぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)