追取刀おっとりがたな)” の例文
追取刀おっとりがたなでオイ来たと起上る小器用な才に乏しかった。「間に合わせ」とか「好い加減」とかいう事が嫌いであったし、また出来ない人であった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
あの親仁おやじも大分百姓を痛めて溜込ためこみましたね。そのかわり頭がげた。まあ、みんなが図書様を取巻いて、お手柄にあやかるのかしら。おや、追取刀おっとりがたなだ。何、何、何、まあ、まあ、奥様々々。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
追取刀おっとりがたなで駆けつけた長井巡査は寺本医師を見ると、丁寧に礼をして
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
謀叛人むほんにんが降つて湧いて、まる取詰とりつめたやうな騒動だ。将軍の住居すまいは大奥まで湧上わきあがつた。長袴ながばかますべる、上下かみしも蹴躓けつまずく、茶坊主ちゃぼうずは転ぶ、女中は泣く。追取刀おっとりがたなやり薙刀なぎなた。そのうち騎馬で乗出のりだした。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)