迎合げいごう)” の例文
お綱好みの迎合げいごうをやらかし、これでお綱が参らなければ、また一工夫という腹だろうが、さりとはお十夜、どこまでこんのいい男だろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文壇の風潮たとへば客観的小説を芸術の上乗じょうじょうなるものとなせばとてひてこれに迎合げいごうする必要はなし。作者すなわちおのれのがらになきものを書かんとするなかれ。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それ等は自己に迎合げいごう阿附あふする者のみを愛し、これに金品を与えて虚名きょめいを博すべく努力する。
ゆえ追々おいおいに各地に固定するのみならず、またつとめて大勢に迎合げいごうせんとするのである。
同じ阿諛あゆ迎合げいごうを事としても、杜周としゅう(最近この男は前任者王卿おうけいを陥れてまんまと御史大夫ぎょしたいふとなりおおせた)のようなやつは自らそれと知っているに違いないがこのお人好しの丞相ときた日には
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もっとも、世間の通念からすれば、源氏に由縁ゆかりのある者でも、極力、平家方へ迎合げいごうするが時勢に沿うというもので、何も特に、複雑な事情にある子連れの女を、いくら後添えにせよ、持つ要はない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)