辺疆へんきょう)” の例文
新しくは、映画の「失われた地平線」の素材の出所とにらむことのできる——まさに西北辺疆へんきょう支那の大秘境といえるのである。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
辺疆へんきょうノ責ニ任ズル者能クコノ篇ヲ熟読シ以テ斟酌しんしゃくシテコレヲ用レバ則チソノ実用アルイハ孫呉ニ倍セン。今二人アリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
外面的文明のただなかにおいてでさえ、原始的な辺疆へんきょう地的な生活をしてみることは多少とも利益のあることである。
りょうは、南下の野望がさかんで、つねに辺疆へんきょうおかしては、山東さんとう山西さんせいをおびやかし、河南かなん、河北をかすめ、またあらゆる手段の下に、いつかは物資文化の花ゆたかな宋へ攻め入って
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
H・デューラン氏もまた、祖国イギリスに安価な錫を供給することに成功して、得々とこの辺疆へんきょうの地で、英国第一流の紳士としても恥ずかしからぬ貴族的な生活を楽しむことが出来たのである。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
「とにかく、死刑はいけません。死罪だけは、断じていけない。といって、軽罪では、高家の父子もおさまりますまい。死一等を減じて、辺疆へんきょうの地へ流刑るけいにされてはいかがでしょう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)