身慄みぶるい)” の例文
東洋趣味のボー……ンと鳴り渡るというような鐘の声とは違って、また格別な、あのカン……と響くかん音色ねいろを聴くと、慄然ぞっ身慄みぶるいせずにいられなかった。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
草も木も軒も障子も心から寒そうな身慄みぶるいをした。ちょうど哀れをしらぬ征服者がひづめのあとに残して行く戦者の最後の息であるかのような悲しい音を立てている。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
思わず身慄みぶるいするとき、早や池の水は岸近くから凍り始めて、家の影はいつか消え失せ、一面磨硝子すりガラスのようになる。同時にパレットの上の水が凍って絵具が溶けない。筆の先が固くなる。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
一陣ひとしきり夜嵐が空を渡った。星は身慄みぶるいした。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
身慄みぶるいをするぞ。