身体中からだぢゆう)” の例文
旧字:身體中
彼の身体中からだぢゆうを調べました。がどこにも、子豚は隠れてゐません。まつたく彼が子豚の鳴き声をまねたのでした。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
絹針は三日三晩悲鳴を上げて泣きつゞけたお姫様の身体中からだぢゆうをば血の流れと共にめぐめぐつて、とう/\心の臓を突破つて、お姫様を殺してしまつたとか云ふ話を聞いた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
実業家は当世人だけに、他人ひとの話を立聴きするのが何よりの好物であつた。談話はなしが儲け話か女の噂である場合には、とりわけ身体中からだぢゆうを兎の耳のやうにしてぬすぎきをした。
「でも洋服だからよかつたのです。これが和服だつたら身体中からだぢゆう焼傷やけどをするところでした。」
身体中からだぢゆうどこもかくさないで平気へいきせることさ。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)