赤光あかびかり)” の例文
エミリウス・フロルスは同じ赤光あかびかりのする向側の石垣まで行くと、きつとくびすめぐらして、蒼くなつてゐる顔をはげしくこちらへ振り向ける。
「花ちやん、頭の禿げたなどは特別恐れ入りやしたわけで」と丸井は赤光あかびかりの脳天ポンと叩いて首を縮む
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
円い窓から外を見ると、黒い波のかさなった向うに、月だか太陽だか判然しない、妙に赤光あかびかりのするたまがあった。乗合いの連中はどうした訳か、皆影の中に坐ったまま、一人も口を開くものがない。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)