貫主かんす)” の例文
一月寺の貫主かんすは年のうち大抵、江戸の出張所に住んでいる。院代いんだいがいるにはいるが、これはほとんど寺のことには無頓着で、短笛たんてきろうして遊んでいる。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「並んで長くなっておらば、貫主かんす御僧正ごそうじょうが事の吟味遊ばさって、よきにお計らい下さろうぞ、ゆるゆる休息致せ」
「おとぼけ召さるなッ、その衣の袖下かいくぐって逃げ込んだのを、この二つのまなこでとくと見たのじゃ。膝元荒す鼠賊そぞく風情ふぜいを要らぬ匿い立て致さば、当山御貫主かんすに対しても申し訳なかろうぞ」
江戸宗家を初めすいの御三家が並々ならぬ信仰を寄せているゆえ、将軍家自らが令してこれに法格を与え、貫主かんすは即ち十万石の格式、各支院の院主は五万石の格式を与えられているところから