調帯ベルト)” の例文
旧字:調帶
それがこの事件の才智の魔術ウィッチクラフト・オブ・ウィズダムさ。詳しく云うと、オフェリヤの裳裾と繰り出しの調帯ベルトに孔雀が驚くべき技巧を施したからなんだ。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そのうちにいよいよ手に負えなくなって、むやみに調帯ベルトをとめるので、だんだん罐がたまりこんで収拾のつかぬ状態になった。
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこは工場の心臓だった。そこから幹線動脈のように、調帯ベルトが職場の天井を渡っている主動軸メエンシャフトの滑車にかゝっていた。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
丘の麓にある細菌研究所ではいつぞや私の方から納めた機械の二台が組み立てられて今頃は調帯ベルトがかかってうなりを立てている頃であろうと教えてくれた。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
人達は、方向のちがった二本の幅広い調帯ベルトのように、両側を流れていた。何時迄見ていてもそれに切れ目が来ない。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
然し、孔雀だけは自若としていて、最後の止めを幡江に加えたのだよ。と云うのは、あらかじめ二すじ調帯ベルトのうちどれかの一本に、孔雀は鋭利な薄刃を挾んで置いた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その途端に空罐が約七寸の勾配で上のほうからゆっくりと下ってきて、一封度ポンドの魚肉とひとつまみの塩をさらいこみ、調帯ベルトに飛って罐叩きのいる仕上台へ流れてくる。
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは、前後二つの切り穴を利用して、間に溝を作り、その中で、調帯ベルトを廻転する仕掛になっていた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
調帯ベルトに乗って流れてくるやつは、けっしてキチンとした状態になっているのではない。そこが機械の浅ましさで、罐を開けたときの、われわれの美的印象などは全然考慮に入れない。
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)