誘拐かどわ)” の例文
ところが白昼誘拐かどわかされ朝廷の大官に売られたのをその大官がさらにそれを皇帝に献じたということです。娘は私に云うのでした。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その内でも優れた美人を誘拐かどわかして犠牲にし、連夜ひそかに悪魔の呪法をして将軍家光を調伏する計画だったのです。
十八公麿まつまろさまを誘拐かどわかして、遠国へでも売ろうとする野盗か人買いにちがいあるまい、と今度は考えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お兄様、面目ない、——私はお前の妹のお元、悪人の手に誘拐かどわかされて、心にも無い妾奉公、親のかたきとも知らずに此奴こやつに身を任せました、兄上様許して——」
禁断の死針 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
云うなッ、どこうそぶいて左様な白々しいが出るのじゃ。汝こそ縁談を退けられたを意趣に含み、大切な娘を誘拐かどわかさんと致した不敵な痴者しれもの、その手先に働く木ッ葉どもを
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何者かに誘拐かどわかされて行衛を失ったというようなことを話していたのを耳にして、さては自分の実の親は、レイ市通いの隊商のこの老夫婦であったのかと、初めて真相を知ることが出来た。
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
誘拐かどわかされて、祇園の森に、連れこまれた晩——そのときすでに——八坂の不死人は、焚火をかこむ、怪しい夜の人種のうちでも、頭目と立てられていた盗賊の大人であった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「女を誘拐かどわかし担いで行く、俺らの昔の商売だったっけなあ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
木賊四郎とくさのしろうという野盗に誘拐かどわかされて、この宇治の色町へ売られた妹なのでございまする。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——いけねえ、どう考えても、お里の弟だ。その木村丈八郎へ、じかに会って今度の事を話すのは、気がとがめる。……おれが、お里を誘拐かどわかして、連れ出した事は、いまだに、知らねえらしいが」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「平泉の人買いに、誘拐かどわかされたか、野盗の群れに、攫われたやら」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「若い女でも誘拐かどわかしてきたのですか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)