あざむ)” の例文
なお心耳しんじのある名将となると、いかに上手じょうずが吹いても、敵の看破みやぶり、虚実を察し、鋭鈍えいどんはかり、決して、その耳をあざむくことはできないという。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳥井強右衛門勝商すねえもんかつあきが、家康の援軍を求めるため、単身城を脱し、家康にまみえて援兵を乞い、直ちに引き返して、再び城に入らんとし、武田方にとらわれ、勝頼をあざむいて城壁に近より
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
やんぬるかな。大王には初めからそれがしを説客と見ておられる。そして詭弁きべんあざむかれまいというお気持が先になっている。それがしは決して私一箇の功のためにこの言を吐くものではありません。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)