訓詁くんこ)” の例文
鉤摭こうせきして説を成し、上古にがっするを務め、先儒を毀訾きしし、以謂おもえらく我に及ぶなりと、更に異議を為して、以て学者を惑わす。是を訓詁くんこという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
く一助詞の解釈の差で一首の意味が全く違ってしまうので、訓詁くんこの学の大切なことはこれを見ても分かる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その文学の復古現象の中で特に目立ったのは、何といっても『万葉集』の訓詁くんこ註釈の事業であった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
ことに文書には久しくあらわれずして、しかも歴史は古いかと思う郷の名に、ラキまたはロキを下にもつものが、九州の端々には多いようで、是と今日の訓詁くんこ学者までが
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
〔譯〕けいを讀むは、宜しく我れの心を以て經の心を讀み、經の心を以て我の心をしやくすべし。然らずして徒爾とじ訓詁くんこ講明かうめいするのみならば、便すなはち是れ終身かつて讀まざるなり。
昔の「はこ鳥」という簡単な言葉の中にも、人を動かす深秘の意味があったかと思うが、箱と信仰との関係などは、むしろ訓詁くんこを業とする学者の攷究こうきゅうに任せて置いた方がよいと思う。