言伝ことづか)” の例文
旧字:言傳
「御城下の盛り場に唐人小路とうじんこうじというところがある。そこで明日あしたから小屋びらきになる曲独楽きょくごま嵐粂吉あらしくめきちという太夫さんから言伝ことづかって来たんだが……」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるで岸野から言伝ことづかって来たようだった。——小作人は「罪人」と云われると、背中がゾッとした。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
言伝ことづかつた手紙を、樽の上へそつと置き、小石を重石代りに乗つけて、又船を川中へ押しやろうとすると、河原について、瀬が浅いので、がりがり言ふばかりで、動かない
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
「詳しいことは存じませぬが、手前は川の向うで言伝ことづかりましてござんす。……どうぞお乗りを」
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
... 蔵めてある銀の塔がある。それはかつてインドのダンマパーラ居士がチベットの法王に上げてくれろと言って言伝ことづかって参ったものであるからこれだけは取らんでくれ」というと
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)