觔斗雲きんとうん)” の例文
太宗たいそう皇帝の水陸大会だいせがきに、玄奘法師げんじょうほうし錦襴きんらん袈裟けさ燦然さんぜんと輝き、菩薩ぼさつが雲に乗って天に昇ると、その雲がいつの間にか觔斗雲きんとうんにかわって
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ギリシャ神話にはねの生えた靴を穿いている神様があります。西遊記の孫悟空そんごくう觔斗雲きんとうんに乗って一瞬に千里を走るのです。速度の夢ですね。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
觔斗雲きんとうんに乗った孫悟空ならば、小手をかざして、そのあたりから見渡せる伊賀甲賀の峰々谷々の朝げしきを俯瞰ふかんし、布引ぬのびきの山や、横田川の絶景を賞しながら、はるか行く手にはまた、一面の鏡か
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれ通力つうりきによって八十万里を飛行ひぎょうするのに、なんじの掌の外に飛出せまいとは何事だ!」言いも終わらず觔斗雲きんとうんに打乗ってたちまち二、三十万里も来たかと思われるころ、赤く大いなる五本の柱を見た。