覗眼鏡のぞきめがね)” の例文
舷側げんそくの明り窓から西洋の景色や戦争の油画を覗かせるという趣向の見世物みせものこしらえ、那破烈翁ナポレオン羅馬ローマ法王の油画肖像を看板として西洋覗眼鏡のぞきめがねという名で人気をあおった。
久助は片手にひっかけ鉤をつけた釣竿を持ち、片手に覗眼鏡のぞきめがねを動かしては、急湍きゅうたんをすかせながら腰までかして川をわたった。こうやって釣った鮎は毎日の客の膳に上るのだった。
忠僕 (新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
それから父は瓢箪池ひょうたんいけの傍で万国一覧という覗眼鏡のぞきめがねこしらえて見世物を開きました。
寺内の奇人団 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
たまに木樵山きこりやまがつに、ホンのぽっちりお鳥目ちょうもくを包んで心づけをしてみれば、彼等は、この存在物を不思議がって、覗眼鏡のぞきめがねでも見るように、おずおずとして、受けていいか、返していいか
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
看板は油絵で椿岳が描いたのでして、確かその内三枚ばかり、今でも下岡蓮杖しもおかれんじょうさんが持っています。その覗眼鏡のぞきめがねの中でナポレオン三世が、ローマのバチカンに行く行列があったのを覚えています。