西北いぬい)” の例文
折しも西北いぬいの方から一手の軍勢がこれへ馳けてきた。思いもよらず味方の馬岱、龐徳だった。曹軍の側面を衝いてたちまち遠く馳けちらし
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西北いぬいに亘る山浪の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
また西北いぬいの一方は岩石聳え、密林しげり、毒蛇や悪蝎あっかつたぐい多く、鳥すらけぬ嶮しさで——ただ一日中のひつじさるとりの時刻だけしか往来できぬ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西北いぬいの風はふく季節だが、東南たつみの風は吹くことはない。わが陣は、北岸にあり、呉は南にある。敵がもし火攻めなど行えば自ら火をかぶるようなものではないか。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見まわせば、立て並べてある諸陣の千旗万旗は、ことごとく西北いぬいの方へ向ってひるがえっている。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「麦城の北門には、三千の寄手が向けてあるが、それを弱兵ばかり七、八百に減らして、ほかはすべて西北いぬいにあたる山中に埋伏するように、至急、君が行って指図してくれ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また東南たつみよりは徐晃じょこうの騎馬隊、西南よりは楽進がくしん弩弓隊どきゅうたい、東北よりは夏侯惇かこうじゅんの舞刀隊、西北いぬいよりは夏侯淵の飛槍隊など、八面鉄桶てっとうかたちをなしてその勢無慮むりょ十数万——その何十分の一にも足らない張飛
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)