あか)” の例文
礼拝堂の中には、あかい蒸気の微粒がいっぱいに立ちめていて、そのもやのような暗さの中で、弱い平穏な光線が、どこか鈍い夢のような形で漂うている。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まるで七年薬草の匂いのあかくしみこんだその部屋の畳を新しく取り替えて、蚊帳かやをつると、あらためて寺田屋は夫婦のものだった。登勢は風呂場で水を浴びるのだった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)