衰兆すいちょう)” の例文
そういう法皇を奉じて、まだまだ、衰兆すいちょうの見えない平家を廟堂びょうどうから追い落そうなどとしても、所詮しょせん、躍るもの自身の自滅以外、何らの運動となるわけのものではない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最後となっては、劉禅の親政と、宦人かんじん黄皓こうこうの専横などが、いよいよ衰兆すいちょうに拍車をかけていた。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、わが子の無事成長を見たことよりも、その一瞬に、甲軍の衰兆すいちょうを直感して、父としてよろこぶこと以上のよろこびを、べつなところに、もっと大きく、ひとり歓喜していたのであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漢室の衰兆すいちょうおおいがたしと見るや、姦臣かんしん輩出はいしゅつ、内外をみだし、主上はついに、洛陽を捨て、長安をのがれ給い、玉車にちりをこうむること二度、しかもわれら、草莽そうもうの微臣どもは、憂えども力及ばず
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに後退を示した衰兆すいちょうの一歩であった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)