衝立つった)” の例文
三郎は今にも泣き出そうとする子供の様な表情で、いつまでもいつまでも黙りこくって衝立つったっていました。
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
平兵衛の舟がその右側を漕いでいた。平兵衛は舟のどう衝立つったって上流かわかみの水のいきおいを見ていた。
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
李張は夢がめたようにその前に衝立つったっていたが、心残りがして帰れないのでその邸宅の周囲まわりを歩きはじめた。そして、裏門の方に往ってみると裏門の横手の垣に添うて小さな丘があった。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私は三枚の百円札を手にして長い間、ぼんやりと衝立つったっていました。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
行詰ゆきづめに石垣に寄せて縁側えんがわのようにした一幅ひとはば桟橋さんばしがかかっていて、その下には大川の水が物の秘密を包んでいるように満満まんまんたたえていた。二人は河のおもてを見入ったのちに黙って顔を見合して衝立つったった。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)