衝心しょうしん)” の例文
其信心は何時から始まったか知らぬが、其夫が激烈げきれつ脚気かっけにかゝって已に衝心しょうしんした時、彼女は身命しんめいなげうって祈ったれば、神のお告に九年余命よめいさずくるとあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
平穏な顔で、苦しんだようすはまったくないし、夜具をのけてみると、寝衣のすそも乱れてはいなかった。届けによって大目付から、与力が下役人と医師を伴れて来た。医師は「衝心しょうしん」と診断した。
十八条乙 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「いや、そうして生きて居られるのですから、大事にさえ使えば、大丈夫です。それに、心臓が少し右の方へ大きくなって居るようです。あまり肥るといけませんよ。脂肪心しぼうしんになると、ころりと衝心しょうしんしてしまいますよ。」
マスク (新字新仮名) / 菊池寛(著)
意気銷沈より脚気衝心しょうしん可恐こわかったんだ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)