行帰ゆきかえ)” の例文
向うの溝からどじょうにょろり、こちらの溝から鰌にょろり、と饒舌しゃべるのは、けだしこの水溜みずたまりからはじまった事であろう、と夏の夜店へ行帰ゆきかえりに、織次はひとりでそう考えたもので。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは去年の秋の頃、綿のような黄金色こがねいろなす羽に包まれ、ピヨピヨ鳴いていたのをば、私は毎日学校の行帰ゆきかえり、を投げをやりして可愛がったが、今では立派にふとった母鶏ははどりになったのを。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)