行人ぎょうにん)” の例文
紐を解き敷いて、折り返しかぶれは、やがて夜のふすまにもなりまする。天竺の行人ぎょうにんたちの僧伽梨そうぎゃりと言うのが、其でおざりまする。早くお縫いあそばされ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
もの申します、これは紀州高野の山よりまかり下りました行人ぎょうにんにござりますが、当所の上人しょうにんに拝顔を
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると行人ぎょうにん鳥足とりあしの高足駄を穿いて行くのであった、という調子で、当らぬのは一つもない。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
どこの国からきた、どこのおてら行人ぎょうにんであろうか、天蓋てんがい瓔珞ようらくのたれたお厨子ずしなかにせおい、むねにはだいをつってかね撞木しゅもくをのせてある。そして行乞ぎょうこつでえたぜには、みなそのかねのなかにしずんでいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と格子の外に立った白衣白杖の行人ぎょうにん相良金吾。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)