血泥ちどろ)” の例文
「それ、好きな念仏でもざけ」と、杖や足蹴あしげもてあそんで、彼のからだを血泥ちどろにまろばせてほうり出した。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通されて平伏した二人は血泥ちどろもそのままな戦場の身なりである。尊氏は後ろの頼春へむかって
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土に寝、木のほらにひそみ、食物も火も用いない物ばかり食っていたらしいことは——そのボロボロな衣服や、素足すあし血泥ちどろや、そして急に獣じみてきた眼つきにも、わかる。
首の細いおそめ人形や久松人形も血泥ちどろによごれて、箱と一緒に踏みつぶされていたが、ふと、有村が隙を狙って拾い取ったのは、その人形とともに箱の中から飛びだしていた桐油紙とうゆで包んだ一じょう秘冊ひさつ
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)