虫取菫むしとりすみれ)” の例文
虫取菫むしとりすみれの紫花、白山小桜の紅花、深山みやまキンポウゲの黄花など、色とりどりに美しい。登るに従って植物の光景も多少変って来る。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
黒檜山は梅鉢草うめばちそう虫取菫むしとりすみれ雪割草ゆきわりそうの産地で、中にも梅鉢草の咲き盛りには頂上の東の斜面は実に美しい。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
紅花苺べにばないちごや大桜草の紅い花、虫取菫むしとりすみれの紫の花など、彼を見此を眺めて時の移るを知らず、或は初めて雪渓を辿る面白さに、脇目もくれずひた上りに上って行く人もある。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
蒼黒い偃松はいまつの叢立を島のように取り巻いた鮮緑の草原を飾る白山小桜はくさんこざくら小岩鏡こいわかがみの紅と、珍車ちんぐるま白山一華はくさんいちげの白と、千島桔梗ちしまぎきょう虫取菫むしとりすみれの紫とは、群落をなした多くの花の中でも特に目立って美しい。
日本アルプスの五仙境 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
例えば見渡す限り白い花の白山一華はくさんいちげに交って、紅い小岩鏡こいわかがみや、紫の虫取菫むしとりすみれなどが点在しているといった工合である。しかし少しも外のものが混らないで、純群落を作っていることもまた少なくない。
山の魅力 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
梅鉢草や虫取菫むしとりすみれの多いことも此山の特色であろう。