虚飾みえ)” の例文
人間の心得として、虚飾みえや、いかものの化粧が、実に無価値であることを、教えられるより、細々、一々、実際について、批評される。それも
追想 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
美女 (おくれたる内端うちわな態度)もうもう、決して、虚飾みえ栄燿えようを見せようとは思いません。あの、ただ活きている事だけを知らせとう存じます。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
七「成程これは面白い妙ななりで、旦那の姿がいねえ、何うもあなた虚飾みえなしに、方丈様とか旦那様とか云われる人の、薪を割るてえなア面白いや」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
如何かして虚飾みえで無しに骨を折つて貰ひたい、仕事にあぶらを乗せて貰ひたいと、諭せば頭は下げながら横向いて鼻で笑はれ、叱れば口に謝罪られて顔色かほつきに怒られ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そこにいくらかの虚飾みえと隠し立てとを取り去ることのできぬ女の性格、それに突き当る機会の多くなったのも厭であったが、やはり女をそっと眺めておけないような場合がたびたびあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
緑雨の車夫は恐らく主人を乗せてける時間よりも待ってて眠る時間の方が長かったろう。緑雨は口先きばかりでなくて真実困っていたらしいが、こんな馬鹿げた虚飾みえを張るに骨を折っていた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
(いや、ますます降るわえ、奇絶々々。)と寒さにふるえながら牛骨が虚飾みえをいうと(妙。)——と歯を喰切くいしばって、骨董こっとうが負惜しみに受ける処だ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ええ情ない、どうかして虚飾みえでなしに骨を折ってもらいたい、仕事にあぶらを乗せてもらいたいと、さとせば頭は下げながら横向いて鼻で笑われ、叱れば口に謝罪あやまられて顔色かおつきに怒られ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
 貴女にそのおごりと、虚飾みえの心さえなかったら、一生聞かなくとも済む、また聞かせたくない事だった。貴女、これ。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)