虎吉とらきち)” の例文
天魔太郎てんまたろう、妹月子つきこ、それにお千代ちよ虎吉とらきちをくわえた少年少女四人に、大猿の次郎坊じろうぼう一匹、伝馬町の大牢へと、嵐のなかをおよぐようにたどりつきました。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
明治時代もあらゆる時代のやうに何人かの犯罪的天才をつくり出した。ピストル強盗も稲妻いなづま強盗や五寸くぎ虎吉とらきちと一しよにかう云ふ天才たちの一人ひとりだつたであらう。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大工である妹の亭主が手弁当で日給一円、鷲尾の末弟の虎吉とらきちが熊本市の郊外電車の少年車掌で日給七拾銭、末の妹と父親の内職が三十銭足らず、それに店の売上げが月々の地代金にやっとだという。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
見物の衆にまじっていた虎吉とらきち少年や野州の熊五郎くまごろうが、あいての猫間犬丸のしぶとさに、ひどく腹をたてたのです。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
泉田筑後の家に使われている、ことし十三の虎吉とらきちという無類のいたずらっ子です。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)