蘭奢待らんじゃたい)” の例文
麝香じゃこうでも肉桂にっけいでも伽羅きゃらでも蘭奢待らんじゃたいでもない。いやそんなものよりもっとよい、えも言われぬ香りでした。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
蘭奢待らんじゃたいを賜わるべく、勅許を仰いだのも、一個の身に、名香のかおりを持ちたいだけの小慾ではなかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名香六十一種、その内三十三種は勅銘で、第一は蘭奢待らんじゃたい、これは東大寺に在る勅封の名香、昔は将軍一代に一寸四分切り取って下賜かしになる例でしたが、後世はその事さえ無くなりました。
蘭奢待らんじゃたい芳香かおり四隣あたりを払うて、水を打ったような人垣の間を、しずりもずりと来かかる折から、よろよろと前にのめり出た銀之丞、千六の二人の姿に眼を止めた満月は、思わずハッと立佇たちどまった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三の烏 おお、蘭奢待らんじゃたい、蘭奢待。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また、内奏ないそうをとげて、南都の東大寺に秘蔵伝来されている蘭奢待らんじゃたい名香めいこうるおゆるしをうけた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三の烏 おゝ、蘭奢待らんじゃたい、蘭奢待。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蘭奢待らんじゃたい
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)