蘭医らんい)” の例文
この蘭医らんいは二か年ほど日本に滞在し、オランダ使節フウテンハイムの一行にしたがって長崎から江戸へ往復したこともある人で、小倉こくら、兵庫、大坂、京都
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と云いながら蘭医らんい北山ほくざんが立ったので続いて弓之進も立ち上がった。二人は隣室へはいって行く。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
父は所謂いわゆる蘭医らんいである。オランダ語を教えてろうと云われるので、早くから少しずつ習った。文典と云うものを読む。それに前後編があって、前編は語を説明し、後編は文を説明してある。
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)
老人は、ここで本朝ほんちょう最初の蘭医らんい施療所せりょうじょをやろうという思い立ちらしい。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さじ一本で千代田の大奥に伺候したことさえあるので、いまだに相良玄鶯院と御典医名で呼ばれている名だたる蘭医らんい、野に下ってもその学識風格はこわもての浪士たちをあごの先でこき使って、さて
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
長崎仕込みの立派な蘭医らんい、駿河守の侍医ではあったが、客分の扱いを受けている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼らオランダ人は長崎蘭医らんいの大家として尊敬されたシイボルトのような人ばかりではなかったのだ。彼らがこの国に来て交易からおさめた利得は、年額の小判こばん十五万両ではきくまいという。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
また蘭医らんい養生所の方もひらかねばならぬ。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)