藩邸はんてい)” の例文
几帳面きちょうめん藩邸はんていの中に、たった一人、ひどく目障めざわりな男が、この頃、御用部屋にまごまごしている。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この公用とは所謂いわゆる公儀こうぎ(幕府のことなり)の御勤おつとめ、江戸藩邸はんていの諸入費、藩債はんさいの利子、国邑こくゆうにては武備ぶび城普請しろぶしん在方ざいかた橋梁きょうりょう堤防ていぼう貧民ひんみんの救済手当、藩士文武の引立ひきたて等、これなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
江戸定府えどじょうふとて古来江戸の中津なかつ藩邸はんてい住居じゅうきょする藩士も中津に移住し、かつこの時には天下多事にして、藩地の士族もしきりに都会の地に往来してその風俗にれ、その物品をたずさえて帰り
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
藩邸はんていの横へ出て、目黒門の坂小路を登りかけてくると、伝右衛門は
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)