藁小屋わらごや)” の例文
供についていた三浦荒次郎義澄は旅装も解かず、裏の藁小屋わらごやの柱にりかかったまま、不寝番ねずのばんしていたので、すぐ駈け出して見た。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通った婚礼がどこへ行ったか調べたって、なかなかわかるもんじゃないよ。藁小屋わらごやの中に落ちた針をさがすようなもんだ。わかりっこないよ。
丁度道ばたに藁小屋わらごやがありましたので、みなその中へけこみました。雷は鳴りひゞく、いなづまはピカリ/\とひらめく、大へんな空もやうになりました。
狐に化された話 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
さすがに私もいままで、この事だけは恥かしくて言いかねていたのですが、数枝さん、私たちは小さい時に、あなたの家の藁小屋わらごやの藁にもぐって遊んだ事がありました。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
道路工夫の藁小屋わらごやに戻って間もなく、彼がひどく心を動かされたことというのは、次のような事柄だった。
提燈ちょうちんや棒が駈け集まってみると——朱実はしどけない姿を農家の藁小屋わらごやらしい陰にさらしていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)