蒔散まきち)” の例文
いづれも感情をおさへきれないといふ風で、肩を怒らして歩くもあり、板の間を踏み鳴らすもあり、中には塩を掴んで庭に蒔散まきちらす弥次馬もある。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いのさ、これはお前にこれは姉さんに、大きいので帳場の払ひを取つて残りは一同みんなにやつても宜いと仰しやる、お礼をまをして頂いてお出でと蒔散まきちらせば
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れいまをしいたゞいておでと蒔散まきちらせば、これを此娘このこの十八ばんれたることとてのみは遠慮ゑんりよもいふてはず、旦那だんなよろしいのでございますかと駄目だめして
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)